「なんであの子が選ばれたの?」
「全然リーダーシップないじゃん、もっと他の子いなかったの?」
影で浴びせられる言葉たちは簡単に想像できた。
言われるのも当然だと思う。
だって実際、私だってどうして自分が選ばれたのかわからなかったから。
だけど。
実際の周りの反応は拍子抜けするほど、肯定的だった。
「千夏ちゃん、やったじゃん!」
「副会長、頑張ってね」
周りの思いがけない優しすぎる言葉に、最初は戸惑った。
何かの間違いなんじゃないかって思った。
本当にそんなにみんな、優しくするのかな、って。
頼斗のことみんな好きだったのに。
だけど、今になって思えば、いい意味でも、悪い意味でも、結局頼斗はみんなのアイドルだったんだ。
あくまでもアイドル。
学校一のイケメンのアイドル。
そこに恋愛感情は全くもってなかったんだ。
私だってその時は。
でも。
「頼斗くんって、千夏ちゃんのこと好きなんじゃない?」
友達が何気なく言ったこの一言が、私の中の何かを変えた。

