だいたい、そんな私が陸に想いを伝えたところで、何の得になるんだろうか。
そんなことより、頼斗に振られてからまだそんなに経ってないし、それでいてこんなこと言い出したら、私、ただのだらしない人間だって思われるに決まってる。
でも、頼斗に振られたから、その代わりに陸を好きになった、ってわけじゃない。
それだけは胸を張って言える。
私は、『好き』っていうのは本当は頼斗への気持ちではなく陸への思いだって気づいたんだ。
こんなの信じてもらえないんだろうけど。
こまめに携帯の地図をチェックしながら標識の地名とを照らし合わせる。
待っててね、陸。すぐ行くから。
もう大阪に引っ越したきり帰ってこないと思っていた陸が戻ってきてくれた時、本当に嬉しかった。
向こうからしたら、もう私のことなんて覚えてないかもしれないけれど、初恋の相手は陸だったから。
だから、また同じ学校で、同じ教室で過ごせるなんて夢見たいな話だった。
それなのに、なんであんな風に道に迷ってしまったんだろう。
私は、本当にばかだ。

