太陽に手を伸ばしても





頭で考える前に私の足は走り出していた。





走ることなんて全く想定せずに選んできた私の靴は、硬い地面を蹴り上げるごとに、カンカンと鋭い音を立てた。



その音に気づいたのか、固まって立っていた4人は一度に私の方向を見る。




一同は驚いたような、困惑したような表情でお互い顔を見合わせた。



こっちはこんなに切羽詰まってるのに、向こうのみんなはいたって落ち着いたものだった。





しかも。





「千夏!お前、こっち来ちゃったのかよー」





開口一番、大げさに眉毛を曲げた智己から発せられたのはこんな冷たい言葉だった。