視線を窓から前に移す。教室。黒板。チョークで文字を書く音と、クラスメイトのこそこそ話が聞こえた。僕は授業を聞く気にもなれず、机を鉛筆でガリガリと削った。ガリガリガリガリガリガリガリガリ。
黒くなった机を見ると、なんだか笑えてくる。そんな僕は、きっと頭がおかしいのだ。
お前も、僕と同じだな
特に意味もなく独り言。
 この言葉を聞く人はいないだろう。聞こえていても、いつものように気味が悪いといい、影でバカにするだけだ。
「清水、」
教師が僕の名前を呼んだ。はっとして前を向く。
「どうした?」
黒板消しから手を離しながら言う。よそ見をしていたことがばれたのか。
「いえ、なんでもないです。」
少し咳き込み、喋った。
「そうか。」
再び教師は黒板へと向きを変えた。
 クラスメイトの顔。こちらを見ている。何人かは気持ち悪そうに、何人かは笑いながら、何人かは不思議そうに、その、馬鹿にするような顔。顔。顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔顔。それが、大嫌いだ。