拓也は、僕が居るのを見ると、こちらへ駆けてきた。
「優斗!おまえ、なんで、こんなところに…」
くるなよ!
声に出して伝えたかったことは、声にならず、口がパクパクするだけだ。
「ぐぁっふぁあっ」
そんな声は、拓也の耳に届いただろうか。
「優斗…!どうしたんだよ!苦しいのか…!?」
拓也が、いったとたん、竜が顔を出して、
「やめろ、」
拓也の、顔が、こわばった。
「お前の願いを叶えてやろう。」
僕は、もう喋ることができなかった。拓也は案外あっさり受け入れて、
「じゃぁ、優斗を、助けてやってくれないか。」
痛みとは違う涙が、僕のほほを流れて口に入る。
「さぁ長、我の命を使うか?」
そんな、拓也の助けは要らない…僕を、捨てたくせに。
でも、こんなときでも、僕は、拓也の役にたちたいと思ってしまう。