竜は目を閉じて、なにかを語り始めた。
「では、一つはなそう。長よ。
我は長の補佐役だ。長は、人間の願いを叶えてけ。」
……なにを、いってるんだ？僕が、願いを？竜が、補佐？僕が、長？
　頭のなかで自問自答を繰り返し、　ようやくひとつ、言葉を見つけた。
「どういうこと…」
竜はふむ、と小さく、いや、僕から見れば大きくて咳払いをして、目を僕と合わせた。
「長には人の願いを叶えてもらう。この事については、もうなにも言わない。
願いは、我の命と引き換えに、叶えられる。我の命は残り１２。前の長が無駄遣いしてしまったのだ。あぁ、そうだ。長の命を使うこともできる。だが、もちろん１つだ。」
命を、使う？僕の命も？なんで？どうして、どういうことだよ。
　僕の体は小刻みに震え、汗が顔全体を伝うのを感じて、立ち上がった。
「お、おい！じゃ、じゃぁ、僕の願いも叶えてみろよ！僕だって、立派な人間じゃないか、」
竜は首を上にあげ、堂々とした態度で
「よかろう。」
といった。
お前の願いはなんだ？
突然、脳に響く声。竜は口を開けてない。きっと、僕自身の声だ。
どうせ、嘘だ。きっと。でたらめだ。