『この下は楽しくて、辛いことはなにもないさ』
誘惑の言葉。だけれど、今の僕を誘うには、十分すぎる言葉だった。
 この世界は、汚い。心も、人も、なにもかも。ここは僕が生まれたときから、大きなゴミ箱だったんじゃないのか?ここは、生まれながらにしての地獄だったのではないのか?僕はそんなことを考えとしまう。
 そんなことないって、わかってる。この世界を楽しんでいる人もいる。けれど、
 僕は憎くて、悔しくて、情けなくて、
僕は池に飛び込んだ。ゴミ箱から脱出した。そう思った。苦しいことも、悲しいことも、感情が無くなれば…
 僕の体は黒に染まって、池に沈んだ。