パンッ!と適当に読んでいた小説を閉じて、本棚に戻した。


図書室の壁に掛かった時計を見てみると、お昼休み終了まで後10分。


「もう教室帰っちゃおうかしら………」


まったくアイツは……本当に何してんだか。


ブツブツ言いながら出入口に向かおうとした瞬間、引き戸が開いた。


「わりぃ、遅れた!」


「………遅い」


ようやく来た私の彼氏は、急いで来たのか髪の毛がちょっと乱れていて、息を切らしている。


「ごめんごめん。謝るからそんなにむくれるなよ、小町」


「人を待たせたら謝るのは当然だと思うけど?港君?」