「結衣。」
「…はい。吉川 結衣です。」
「何歳?俺は18歳だけど。」
「…25…(ものすごい小声)」
「へぇ、25歳。趣味は?」
「…えっと…特にないです…」
「そっか。」
…なにこれ、拷問!?!?
つまらない私のつまらない自己紹介。
喫茶店なんかに入らなければよかった…
優真くんも、さっきは 結婚してください なんて言ったけど後悔してるんだろうな。
こんなつまらないやつだったのか、って…
「結衣、かわいい」
「…へっ…?」
「喋るの苦手なんでしょ。なのに、頑張ってる。かわい。」
…この子は、変わってるなぁ。
私のどこが可愛いのか。
でも、久しぶりにこんな感覚になる。
少し自分に自信がでてきた、というか。
本当にほんの少しだけど。
優真くんといると、私でよかったって思えてくるような感じ。
なんか、よく分からないけど。
「ねぇ、連絡先教えて?」
「…えっと…」
「まだ信じない?嫌ならブロックしてもいいから。なんなら、家族も紹介するよ。結婚もする。」
「…最後の方はなんだか違う気がするけど。そ、そうだね。ブロック…うん。連絡先、いいよ。」
「やった。結衣の連絡先♪」
ほぼずっと無表情だった彼が少し喜んだ。にこにこしてる。
すごく綺麗な顔立ち…
「なに、なんかついてる?」
「あ、い、いや、綺麗な顔だなと思って…」
「俺、今まで自分の顔に興味なかったけど、この顔に生まれてよかった。結衣に褒められた。嬉しい。」
…可愛い。
無性に可愛く思えてきた。
母性本能をくすぐる可愛さというか。
それに私をすごく尊重してくれる言い方をする。
彼はすごく優しいんだろうなぁ、としみじみ思った。
「ねぇ、毎日電話していい?」
「え!?え、えっと、電話苦手で…」
「…じゃあ毎日メッセージ送る…」
そんな可愛い優真くんとのおはなし。

