「優真くんって自分の部屋とかあるの?」
「…ない」
「え?ないの?お手洗いの向かいの部屋は?」
「…部屋なんてない」
「…扉はあったけど…」
「入っちゃだめ。」
「…優真くんのこと、知りたいと思ったんだけど、だめ?」
優真くんのことを知りたい。
つまり好奇心だ。
優真くんが本当になにが好きで、何に囲まれて生活してるのか、知りたい。
「…だめ。」
「どうしても?」
「うん。」
「そっか…」
あからさまにシュンとしてみる。
これは演技だ…!
さすがにここまでシュンとされたら、入れざるを得ないだろう、優真くん…!
「…結衣、本当に入りたい?」
「うん!」
「後悔、するかも。」
「大丈夫!」
「いや、ほんとに…」
「大丈夫だよ!!」
効果てきめん!
ここ最近で気づいたことは、優真くんは何だかんだ私に甘いところがある。
普段から私はそんなにお願いをしないタイプだし、ここぞというときに使っておかねば!
そんなことを考えていた。
「後悔しても、しらないから」
甘いのは
このときの単純な私だったのだ。