「約束する。

必ずお前のところに戻るって、ちゃんと約束をするから」

「“生きて”を忘れていますよ」

私は言った。

「戻ってくるのは、当然のことです。

でも、生きてちゃんと私のところに戻ってきてください」

そう言った私に、
「約束する」

宮本さんは私の隣で横になると、唇に触れるだけのキスをした。

「私、あなたが帰ってくるのを待ってますから。

何日も、何年でも、あなたが帰ってくるのを待ち続けますから。

おばさんになっても、おばあさんになっても、待ってますから。

だから、絶対に生きて帰ってきてくださいね」

言い終えた瞬間、私の目から涙がこぼれ落ちた。

「ああ、必ず帰ってくる」

宮本さんは首を縦に振ってうなずくと、親指で優しく涙をぬぐってくれた。