今宵の月のように

「て、テロリスト、ですか…?」

それは一体、どう言うことなのだろうか?

「詳しいことはよくわからないんだけど、昨日のお昼ぐらいだったかしらね?

おまわりさんが訪ねてきたの。

この近所にテロリスト集団が潜んでいると言う情報が入ったので、怪しい人物を見かけたら警察に連絡してください…って」

「ああ、そうなんですか…」

私はちゃんと返事をすることができているだろうか?

「この間の夜、発砲の音がしたかと思って何かと思ったら…」

この間の夜に発砲の音って…それがあったのは、私が宮本さんと会ったあの夜のことだ。

しかも、この近所に潜伏してるテロリストって…もしかして、宮本さんのことを言ってるの?

「高緑さんも気をつけてね。

怪しい人物を見かけても、間違っても立ち向かわないようにね」

そう言った大家さんに、
「は、はい…」

震える声をどうにかして押さえながら、返事をすることしかできなかった。