今宵の月のように

就職を機に都会に上京して、これで私も華やかな都会生活が送れる…と思ったのは大間違いだった。

現実はあまりにも理想と違い過ぎて、私が夢見ていた華やかな都会生活が崩れてしまった。

上司のくだらないスピーチを聞くために、おしゃれなカフェでのんびりとモーニングを食べている場合ではない。

会社に女は私1人だけで、周りは既婚者の男やおじさんばかりだ。

昼ご飯は日替わりランチではなく、職場に毎日届けられるマズい弁当と市販のペットボトルのお茶だ。

定時なんてそんなものはどこにあるんだと言うくらい、朝から晩まで仕事に追われて日によってはタクシーに乗って自宅に帰るなんてこともある。

せっかくの休日もネイルや美容院、エステと女子力を磨きに行っている場合ではない。

合コンやお見合いパーティーに参加して、素敵なイケメンをゲットしに行っている場合ではない。

働き過ぎて疲れた躰を癒すために昼過ぎまで寝ているか、朝からツナ缶をつまみにビールを飲んでいると言うそんな生活だ。

実家へ帰りたくても両親に縁を切られたため帰ることもできない。

辺鄙で不憫な田舎町から上京して、今年で8年目を迎えた。

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