今宵の月のように

20歳を過ぎたと言うのに、厳しい就職活動の末に内定をもらったと言うのに、両親は私が上京することを反対した。

「どうしてこの町から出て行きたいの!?

就職先ならここにだっていっぱいあるじゃないの!」

母は泣きながら言って、今すぐに内定を取り消すように電話をしろと言ってきた。

「就職先ならすぐに紹介してやる。

すぐに社長に掛けあって春から働けるようにと説得しに行ってやるから」

父は自分の勤め先に私を入社させようとしていた。

今にも潰れそうな印刷会社のくせに、何をえらそうに社長に掛けあうとか説得しに行くとかって言っているんだか。

「もう決めたんだから口に出さないでよ!」

絶対に町に残れと上京に反対する両親に耐えることができなくて、私は叫んだ。

最終的には大学卒業に家出をすると言う形で、私は生まれ育った辺鄙な田舎町から出て行った。

これで私は自由だと、そう思っていた。