今宵の月のように

わかってない…。

頭が古いからそんなことを言えるんだよ。

この町の生活になれ過ぎてしまっている両親を見ながら、私は呆れることしかできなかった。

町から出て行きたいと言う気持ちにさらに拍車をかけさせたのは、テレビドラマがきっかけだった。

ヒロインはキャビンアテンダントで、子供の頃は貧乏で不遇な時代を過ごしてきたと言うつらい過去を持った人だった。

そのヒロインは玉の輿を夢見て毎日のように医者や弁護士とさまざまなエリートたちとの合コンを繰り返していた…のだが、最終的には自分にとって最も大切なものに気づき、お金のない貧乏な学者と結婚をすると言う話だった。

キラキラとした華やかな世界観を描いたそのドラマは、子供の私の心を強くつかんだ。

おしゃれな洋服に素敵な仲間たち、華やかな生活、そして運命の人との素敵な恋――ドラマの中のロマンチックで華やかな都会生活を送りたいと、私は強く思うようになった。