「志木さん、よかったら聞かせてもらえるかしら?その話」
「時任会長……、はい。わかりました」
透はまるで決心したように頷いた。その時ドアがノックされ、家政婦が入ってくる。
「奥様。お食事の用意が出来ました」
「わかったわ、沢田。ほら、二人ともお食事にしましょう。続きはその後で、ね?」
「ほらほら」と八重子にせかされてソファーを立ちあがり部屋を移動する。食堂だというその部屋は大きなテーブルが置かれまるでレストランのようだ。オープンキッチンにはコック帽をかぶった男性がひとり作業をしていた。
「彼は津川。我が家専属の料理人よ。ホテルの総括料理長をしていたこともあって腕は確かなの」
八重子に紹介されると津川は恐縮したように頭を下げた。
「恐れ入ります」
「今日はどんなお料理かしら?」
「客様がいらっしゃったと伺ったので和牛をメインにしたコース料理にいたしました」
沢田に促されて十席ほどある大きなテーブル席に着く。次々と出される豪華な昼食。とても美味しくて優雅な時間だ。
食後のお茶を飲みながら八重子は聡美のことを美鶴に話した。
八重子は音信不通だった娘の所在を事故のニュースで知ったという。葬式には呼んでもらえず分骨を願い出たら金銭を要求され断ると、美鶴に祖母だと名乗り出ることを禁じられたという。それでも毎年プレゼントや小遣いを贈り続けたそうだが美鶴の手元に届いたことは一度もなかった。おそらく養父母が隠していたのだろう。
「ママが出来なかった親孝行を私ができたらいいのだけれど」
「美鶴ちゃんはやさしいのね。でもね、一つだけいいかしら? 自分の人生は自分のために生きて」
「時任会長……、はい。わかりました」
透はまるで決心したように頷いた。その時ドアがノックされ、家政婦が入ってくる。
「奥様。お食事の用意が出来ました」
「わかったわ、沢田。ほら、二人ともお食事にしましょう。続きはその後で、ね?」
「ほらほら」と八重子にせかされてソファーを立ちあがり部屋を移動する。食堂だというその部屋は大きなテーブルが置かれまるでレストランのようだ。オープンキッチンにはコック帽をかぶった男性がひとり作業をしていた。
「彼は津川。我が家専属の料理人よ。ホテルの総括料理長をしていたこともあって腕は確かなの」
八重子に紹介されると津川は恐縮したように頭を下げた。
「恐れ入ります」
「今日はどんなお料理かしら?」
「客様がいらっしゃったと伺ったので和牛をメインにしたコース料理にいたしました」
沢田に促されて十席ほどある大きなテーブル席に着く。次々と出される豪華な昼食。とても美味しくて優雅な時間だ。
食後のお茶を飲みながら八重子は聡美のことを美鶴に話した。
八重子は音信不通だった娘の所在を事故のニュースで知ったという。葬式には呼んでもらえず分骨を願い出たら金銭を要求され断ると、美鶴に祖母だと名乗り出ることを禁じられたという。それでも毎年プレゼントや小遣いを贈り続けたそうだが美鶴の手元に届いたことは一度もなかった。おそらく養父母が隠していたのだろう。
「ママが出来なかった親孝行を私ができたらいいのだけれど」
「美鶴ちゃんはやさしいのね。でもね、一つだけいいかしら? 自分の人生は自分のために生きて」


