「町田さんのいう通りです。どうにもならなくて困ってます……助けてください」
「いいよ」
「え? いいんですか」
「だからいいって言ってんじゃん。家狭いけど文句言わないでよ」
「はい。ありがとうございます!」
町田について地下鉄へ乗り込む。彼女の家は終点の駅にあるという。
「一応都内なのよ。始発だから座れるし、乗り換えもないしね」
「そうなんですね。電車にはあまり乗らないからわからなくて……」
混みあっていた車内もひとつ駅を過ぎるごとに徐々に乗客が減っていく。途中で座ることができた。
「志木さんて、すごいお嬢様なの?」
「いえ。以前住んでいた家は田舎で最寄り駅までは車で三十分以上かかります。だから電車にはあまり乗らない生活をしていました。東京にも最近来たばかりでこれからいろいろなところに行ってみようかと思っていたところです」
これから透と東京に限らずいろいろな場所へ出かけようと思っていたのだ。それはもう叶わない夢になってしまった。
「へえ。そうなんだ。先生とはどうやって出会ったの?」
「透さんとは私が働いていた診療所で出会ってプロポーズされました」
患者として、とは言わなかった。でも嘘ではない。診療上で出会い、結婚を申し込まれたのは事実だ。
「そっか。ドラマみたいだね。……いろいろ聞いちゃってごめんね。話したくないことは話さなくていいから」
「はい。ありがとうございます」
「ねえ、敬語辞めよ。志木さん顔が整っててミステリアスだから敬語で話されるとすごく距離を感じるんだよね。プライベートでは美鶴って呼んでいい?」
「はい。じゃなくて……、うん。私はなんて呼べばいい?」
「茜って呼んで。私の実家も田舎なの。家は農家で車がないと生活できないような感じ。電車は一時間に一本」
「似てるね。私と茜」
「うん。だよね。似てると思ってた。だから美鶴が医者と結婚してるって知ったとき裏切られた気がしたの……出し抜かれたって言うのかな。勝手に嫉妬してた。ごめんね」
町田はそう言って頭を下げた。ずいぶんと勝手な言い分とは思ったが不思議と怒りは湧いてこなかった。
「ううん、私も初めに話せばよかったんだよね。でも、離婚する予定だったから話さないでおきたくて、黙ってたんだ」
「え? 離婚の予定があったの?」
「そう。だから仕事を始めたの。自立しないといけなかったから……」
「話してくれてありがと。美鶴も大変なんだね……これからはお互い助け合っていけたらいいな」
こんな風に打ち解けられるならもっと早く話せばよかったのかもしれないと美鶴は思った。
「いいよ」
「え? いいんですか」
「だからいいって言ってんじゃん。家狭いけど文句言わないでよ」
「はい。ありがとうございます!」
町田について地下鉄へ乗り込む。彼女の家は終点の駅にあるという。
「一応都内なのよ。始発だから座れるし、乗り換えもないしね」
「そうなんですね。電車にはあまり乗らないからわからなくて……」
混みあっていた車内もひとつ駅を過ぎるごとに徐々に乗客が減っていく。途中で座ることができた。
「志木さんて、すごいお嬢様なの?」
「いえ。以前住んでいた家は田舎で最寄り駅までは車で三十分以上かかります。だから電車にはあまり乗らない生活をしていました。東京にも最近来たばかりでこれからいろいろなところに行ってみようかと思っていたところです」
これから透と東京に限らずいろいろな場所へ出かけようと思っていたのだ。それはもう叶わない夢になってしまった。
「へえ。そうなんだ。先生とはどうやって出会ったの?」
「透さんとは私が働いていた診療所で出会ってプロポーズされました」
患者として、とは言わなかった。でも嘘ではない。診療上で出会い、結婚を申し込まれたのは事実だ。
「そっか。ドラマみたいだね。……いろいろ聞いちゃってごめんね。話したくないことは話さなくていいから」
「はい。ありがとうございます」
「ねえ、敬語辞めよ。志木さん顔が整っててミステリアスだから敬語で話されるとすごく距離を感じるんだよね。プライベートでは美鶴って呼んでいい?」
「はい。じゃなくて……、うん。私はなんて呼べばいい?」
「茜って呼んで。私の実家も田舎なの。家は農家で車がないと生活できないような感じ。電車は一時間に一本」
「似てるね。私と茜」
「うん。だよね。似てると思ってた。だから美鶴が医者と結婚してるって知ったとき裏切られた気がしたの……出し抜かれたって言うのかな。勝手に嫉妬してた。ごめんね」
町田はそう言って頭を下げた。ずいぶんと勝手な言い分とは思ったが不思議と怒りは湧いてこなかった。
「ううん、私も初めに話せばよかったんだよね。でも、離婚する予定だったから話さないでおきたくて、黙ってたんだ」
「え? 離婚の予定があったの?」
「そう。だから仕事を始めたの。自立しないといけなかったから……」
「話してくれてありがと。美鶴も大変なんだね……これからはお互い助け合っていけたらいいな」
こんな風に打ち解けられるならもっと早く話せばよかったのかもしれないと美鶴は思った。


