凄腕救急医は離婚予定の契約妻を湧き立つ情熱愛で離さない

「話というのは何ですか?」
「奥様は社長が週二日、グループ病院の現場に出ていらっしゃるのをご存知ですか?」
「はい」
「では、なぜ突然そのようなことを始められたのかはご存じでしょうか?」
「さあ……」
 ――知っている。とは言えなかった。透が現場の医師として働き始めた理由は自分にあるからだ。
「そうですか。ささ、どうぞお飲みください」
 冴木は丁度運ばれてきたミルクティーを美鶴に勧めた。
「いただきます」
 美鶴は遠慮がちにミルクティーを飲みこんだ。だが胸のつかえはとれない。
「現場に出ることを止めるように説得していただけませんか? とにかく非常事態時なんです」
「非常事態? 何かあったんですか」
 美鶴が聞くと、冴木は拳を握り締めた。