5.アイジョウ
数週間後。美鶴の勤務する病棟のナースステーションは朝から騒めいていた。急患がよく運び込まれることも多く、慌ただしいのはいつものことではあるがどうも様子がおかしい。美鶴は洗い物をしながら耳に入ってくる看護師たちの話を聞いていた。
「今日から救急科に来る予定の非常勤医がさ、めっちゃイケメンでさ」
「情報早くない?」
「この前挨拶に来てたのをたまたま見たんだけど、仲村先生よりも全然いい。もう乗り換えちゃおうかな~だって先生ってばあの子の事お気に入りなんだもん。最近入った田舎っぽい子」
「シッ! 聞こえるよ。後ろにいるから」
「ヤバ、本当だ」
陰口にはもう慣れた。原因が仲村にあるとは思っていないが病棟の看護師たちからはあまりいいようには思われていない。中には面と向かって「男探しに来てるの?」といって来る看護師もいるのだ。
町田は「志木さんがかわいいから嫉妬しているんだよ」と慰めてくれるが、もし容姿が気に入らないなどという理由であれば自分ではどうすることもできない。ただ仕事が未熟で彼女たちの役に立てていないのは事実で自分なりに努力を重ねなければならないと思っているところだ。
「志木さん、患者さんの搬送手伝ってくれる?」
他の看護師から声がかかった。美鶴は洗い物の手を止めて病室へと向かう。
「ベッドでアンギオ室まで行きたいんだけど、手を貸してもらえる? 他の助手さんたち手が離せないみたいで……」
「分かりました」
検査のために血管造影室までの搬送を手伝って欲しいということらしい。美鶴はその看護師と共に患者を乗せベッドを押してエレベーターに乗り込んだ。
途中、医局のある階で医師数名が話しながら乗り込んでくる。
数週間後。美鶴の勤務する病棟のナースステーションは朝から騒めいていた。急患がよく運び込まれることも多く、慌ただしいのはいつものことではあるがどうも様子がおかしい。美鶴は洗い物をしながら耳に入ってくる看護師たちの話を聞いていた。
「今日から救急科に来る予定の非常勤医がさ、めっちゃイケメンでさ」
「情報早くない?」
「この前挨拶に来てたのをたまたま見たんだけど、仲村先生よりも全然いい。もう乗り換えちゃおうかな~だって先生ってばあの子の事お気に入りなんだもん。最近入った田舎っぽい子」
「シッ! 聞こえるよ。後ろにいるから」
「ヤバ、本当だ」
陰口にはもう慣れた。原因が仲村にあるとは思っていないが病棟の看護師たちからはあまりいいようには思われていない。中には面と向かって「男探しに来てるの?」といって来る看護師もいるのだ。
町田は「志木さんがかわいいから嫉妬しているんだよ」と慰めてくれるが、もし容姿が気に入らないなどという理由であれば自分ではどうすることもできない。ただ仕事が未熟で彼女たちの役に立てていないのは事実で自分なりに努力を重ねなければならないと思っているところだ。
「志木さん、患者さんの搬送手伝ってくれる?」
他の看護師から声がかかった。美鶴は洗い物の手を止めて病室へと向かう。
「ベッドでアンギオ室まで行きたいんだけど、手を貸してもらえる? 他の助手さんたち手が離せないみたいで……」
「分かりました」
検査のために血管造影室までの搬送を手伝って欲しいということらしい。美鶴はその看護師と共に患者を乗せベッドを押してエレベーターに乗り込んだ。
途中、医局のある階で医師数名が話しながら乗り込んでくる。



