「わかりました。一杯だけなら」
仲村はよくいく店だといい、美鶴を案内した。歓迎会をした店からそう遠くない場所にあるクラフトビールが飲めるのだという。シンプルな造りの店の奥に醸造所が見える。若いグルプの客が楽しそうに声をあげていた。
「ここ、来たことある?」
「いえ。あまり外でお酒を飲まないので」
「そうなんだ。でもたまに付き合ってくれたらうれしいな。はい、メニューどうぞ」
メニュー表には変わったネーミングのビールがずらりと並んでいる。美鶴はフルーツの名前が付いた飲み易そうなビールを注文する。仲村は三種類の飲み比べをするようだ。
「美鶴ちゃんて、何歳?」
「二十二歳です」
「彼氏はいるの?」
「……彼氏、はいません。いたことありません……」
それは事実だった。男性と交際したことがないまま透と結婚した。
「へえ、そう。ますます興味が湧いちゃったな。今度デートしよう」
「どうして私なんですか? 先生ならいろんな女性から声がかかりそうなのに」
顔も悪くなく性格も明るい。医師という職業なら女性が放っておかないだろう。
「まあ、モテはするかな。でも僕は、僕に興味がないくらいの子がいいんだよ。君みたいに」
「先生に興味がない方がいいんですか? 変なの」
「変かな?」
「変ですよ。でも、今日はとてもかっこよかったです。助けてくれた時、ヒーローかと思いました」
美鶴はそういって笑った。すると仲村は照れたように頭を掻いた。
「よかったら連絡先交換しない? 困った時はいつでも相談に乗るよ。持つべきは研修医の友達っていうだろ?」
「友達としてなら」
「予防線張られた~」
美鶴は仲村と連絡先を交換した。上手く断れなかったというのもあるが、仕事の相談が出来る存在がいるのはきっと心強いだろうと思えたからだ。
それから少ししてから店を出た。仲村は「家の前まで送るよ」と言ってくれた。美鶴は素直に応じた。透のマンションはすぐ近くだったが、二十三時を過ぎた繁華街をひとりで歩くのは危険だと思った。
仲村はよくいく店だといい、美鶴を案内した。歓迎会をした店からそう遠くない場所にあるクラフトビールが飲めるのだという。シンプルな造りの店の奥に醸造所が見える。若いグルプの客が楽しそうに声をあげていた。
「ここ、来たことある?」
「いえ。あまり外でお酒を飲まないので」
「そうなんだ。でもたまに付き合ってくれたらうれしいな。はい、メニューどうぞ」
メニュー表には変わったネーミングのビールがずらりと並んでいる。美鶴はフルーツの名前が付いた飲み易そうなビールを注文する。仲村は三種類の飲み比べをするようだ。
「美鶴ちゃんて、何歳?」
「二十二歳です」
「彼氏はいるの?」
「……彼氏、はいません。いたことありません……」
それは事実だった。男性と交際したことがないまま透と結婚した。
「へえ、そう。ますます興味が湧いちゃったな。今度デートしよう」
「どうして私なんですか? 先生ならいろんな女性から声がかかりそうなのに」
顔も悪くなく性格も明るい。医師という職業なら女性が放っておかないだろう。
「まあ、モテはするかな。でも僕は、僕に興味がないくらいの子がいいんだよ。君みたいに」
「先生に興味がない方がいいんですか? 変なの」
「変かな?」
「変ですよ。でも、今日はとてもかっこよかったです。助けてくれた時、ヒーローかと思いました」
美鶴はそういって笑った。すると仲村は照れたように頭を掻いた。
「よかったら連絡先交換しない? 困った時はいつでも相談に乗るよ。持つべきは研修医の友達っていうだろ?」
「友達としてなら」
「予防線張られた~」
美鶴は仲村と連絡先を交換した。上手く断れなかったというのもあるが、仕事の相談が出来る存在がいるのはきっと心強いだろうと思えたからだ。
それから少ししてから店を出た。仲村は「家の前まで送るよ」と言ってくれた。美鶴は素直に応じた。透のマンションはすぐ近くだったが、二十三時を過ぎた繁華街をひとりで歩くのは危険だと思った。


