凄腕救急医は離婚予定の契約妻を湧き立つ情熱愛で離さない

「え? 認知されてない、僕」
 仲村は大げさに肩を落として見せる。
「すみません。お医者さんたちのことまではまだ覚えてなくて……」
 同僚と、看護師の顔と名前はどうにか覚えた。けれど、常に病棟にいない医者のことはまだよく分からないのだ。
「じゃあ、僕のことくらいは覚えてよ。研修医の仲村流星。独身彼女募集中です」
「志木です」
「美鶴ちゃんでしょ? かわいい子が入ってきたってみんな噂してるよ」
「そうなんですか……」
 普段ならもう少し気の利いた返答が出来るのかもしれない。しかし、あんなことがあったタイミングで仲村のテンションの高さにはついていける気がしなかった。
「いやだから、元気出してって。今日僕も行こうかな歓迎会。幹事誰?町田さんかな?」
 冗談だと思って聞いていた。看護助手の歓迎会に研修医が参加するはずがないと。けれど、歓迎会が始まって少しすると仲村は医者数名を連れてやってきた。
「志木さんすごいね」
 町田は嬉しそうに耳打ちする。
「なにがすごいんですか?」
「志木さん、先生たちから人気あるんだよ。お会計もきっと全部払ってくれる! いいお酒頼んじゃおう!」
 仲村が連れてきたのは同じ循環器病等に勤務する循環器内科の若手医師二人。町田が変な気を回して美鶴の両隣りと正面に座らせる。