「さて。休憩、行ってきなさい」
「でも……」
「昼休憩、まだでしょ? 町田さんには私から話しておくからしっかり休んで気持ち切り替えてきなさい。ほらほら、背中丸まってる」
江口は美鶴を勇気づけるように背中を軽くたたく。
「……ありがとうございます。休憩いただきます」
時計をみると十三時を回っていた。
何時間も甲高い声で責められてどれくらいの時間師長室にいたのかさえ分からなくなっていたのだ。
――なにも食べる気がしないな……。
食堂まで来たものの、食事をする気にもなれず美鶴は水だけ持ってカウンターの席に座った。スマホを開くと今日のスケジュールがポップアップされてきた。
「へえ、今日歓迎会なの?」
美鶴は慌ててスマホを伏せると声のする方を見た。そこには売店で患者の対応をしてくれた医師が食事のトレイをもって立っている。
「あ。先生……」
「どうも。研修医の仲村です。隣いい?」
「どうぞ」
「今休憩? 僕もなんだ。師長のお説教いつも長いんだよね」
言いながらカレーライスをスプーンですくい口に運んだ。
「そうなんですね」
「あの患者さんさ、治療拒否する上にしょっちゅう病棟抜け出して買い食いするの。常習犯なんだよね。今回は君が連れてったってだけで、ああなる可能性は常にあったってわけ。だからそこまで気に病むことはないよ」
「でも。あの時私何もできなくて……」
仲村があの場に居合わせなければ患者は死んでいたかもしれない。そう想像するだけで体が震える。
「まあ、そうだね。急変時の対応くらいは覚えた方がいいかな~教えてあげよっか。おんなじ病棟にいるんだし」
「そうなんですか?」
知らなかった。美鶴は仲村の顔をまじまじと見た。けれどやはり覚えがない。
「でも……」
「昼休憩、まだでしょ? 町田さんには私から話しておくからしっかり休んで気持ち切り替えてきなさい。ほらほら、背中丸まってる」
江口は美鶴を勇気づけるように背中を軽くたたく。
「……ありがとうございます。休憩いただきます」
時計をみると十三時を回っていた。
何時間も甲高い声で責められてどれくらいの時間師長室にいたのかさえ分からなくなっていたのだ。
――なにも食べる気がしないな……。
食堂まで来たものの、食事をする気にもなれず美鶴は水だけ持ってカウンターの席に座った。スマホを開くと今日のスケジュールがポップアップされてきた。
「へえ、今日歓迎会なの?」
美鶴は慌ててスマホを伏せると声のする方を見た。そこには売店で患者の対応をしてくれた医師が食事のトレイをもって立っている。
「あ。先生……」
「どうも。研修医の仲村です。隣いい?」
「どうぞ」
「今休憩? 僕もなんだ。師長のお説教いつも長いんだよね」
言いながらカレーライスをスプーンですくい口に運んだ。
「そうなんですね」
「あの患者さんさ、治療拒否する上にしょっちゅう病棟抜け出して買い食いするの。常習犯なんだよね。今回は君が連れてったってだけで、ああなる可能性は常にあったってわけ。だからそこまで気に病むことはないよ」
「でも。あの時私何もできなくて……」
仲村があの場に居合わせなければ患者は死んでいたかもしれない。そう想像するだけで体が震える。
「まあ、そうだね。急変時の対応くらいは覚えた方がいいかな~教えてあげよっか。おんなじ病棟にいるんだし」
「そうなんですか?」
知らなかった。美鶴は仲村の顔をまじまじと見た。けれどやはり覚えがない。


