凄腕救急医は離婚予定の契約妻を湧き立つ情熱愛で離さない

「今週の金曜日の夜、空いてる? 歓迎会しようと思ってるの」
 勤務二日目の昼休み。町田からそう切り出され、美鶴は二つ返事で快諾する。
「はい、空いてます」
「じゃあ、決まりね! メンツは江口さんと、細野さんと橋口さんの五人かな」
 見知らぬ土地で再就職を期待よりも不安の方が大きかったが、こうして自分のことを受け入れ、気にかけてくれる存在が出来たことを美鶴はとてもうれしく思っていた。
「飲みに行くの、久しぶりです」
「そうなんだ。友達とか、近くにいないの?」
「いないわけじゃないですけど、みんな学生だから……」
 SNSの投稿を削除してからというもの、友人とのやり取りは以前のように少なくなってしまった。結局のところお互い時間を作ってまで会うほど仲がいいわけではなかったということだ。
「学生だと疎遠になるよね。話も合わなくなるし」
「はい。SNSもしていないから余計に……」
「SNSねぇ……投稿するネタがないとやらなくなるよね。もらった給料で生活するだけで精いっぱいだし。ウチらって本当に偉いよね!」
おそらく町田は独身で自分の給与だけで生活をしているのだろう。美鶴は「そうですね」と話を合わせた。“自分には養ってくれる夫がいます”とは言えなかった。
そのあとすぐ、透にも歓迎会の話をメールで送った。するとすぐ「行っておいで」と返事が来た。これで心置きなく歓迎会に参加することが出来る。