「まずは乾杯しよう」
透はシャンパンを開けてグラスに注いだ。金色の中に踊る細かな泡が美しい。
「就職おめでとう」
「ありがとうございます……」
思わず涙ぐむ美鶴に透は驚いて立ち上がる。
「どうした? まさか、職場で辛いことでもあったのか?」
「違います、嬉しいんです。こんな風にお祝いしてもらえるなんて思ってなかったから」
「それならよかった……」
透はシャンパングラスを置くと、「ごめんな」といった。
「どうして透さんが謝るんですか?」
「結婚したから殆ど美鶴と過ごす時間を作ってやれなくて申し訳なかった」
「仕方ないですよ。透さんは仕事で大事なポジションにいるわけですし、それに私は透さんに愛されているわけではないですから……こうしてお祝いをしていただけただけで十分です」
これは美鶴なりの感謝の言葉だった。“愛されている”などという幻想を抱いてもいないという意思表示も込めて。
「今日はいいんですか?お仕事」
美鶴が聞くと透は申し訳なさそうに頷く。
「ああ、食べてから家で仕事をするつもりだよ。書類の作成とオンラインの会議が遅い時間にあるんだ」
時差がある外国のクライアントとのやり取りは夜中になることもあると透は説明した。
「それは大変ですね。じゃあ、早く食べましょ」
努めて明るく言って、美鶴はシャンパンを一口含む。細かい泡の口当たりがよく、香りもとても華やかだ。お酒に詳しくない美鶴でも高価なものなのだろうと思った。料理もとても手が込んでいて、どれを食べても美味しい。
透はシャンパンを開けてグラスに注いだ。金色の中に踊る細かな泡が美しい。
「就職おめでとう」
「ありがとうございます……」
思わず涙ぐむ美鶴に透は驚いて立ち上がる。
「どうした? まさか、職場で辛いことでもあったのか?」
「違います、嬉しいんです。こんな風にお祝いしてもらえるなんて思ってなかったから」
「それならよかった……」
透はシャンパングラスを置くと、「ごめんな」といった。
「どうして透さんが謝るんですか?」
「結婚したから殆ど美鶴と過ごす時間を作ってやれなくて申し訳なかった」
「仕方ないですよ。透さんは仕事で大事なポジションにいるわけですし、それに私は透さんに愛されているわけではないですから……こうしてお祝いをしていただけただけで十分です」
これは美鶴なりの感謝の言葉だった。“愛されている”などという幻想を抱いてもいないという意思表示も込めて。
「今日はいいんですか?お仕事」
美鶴が聞くと透は申し訳なさそうに頷く。
「ああ、食べてから家で仕事をするつもりだよ。書類の作成とオンラインの会議が遅い時間にあるんだ」
時差がある外国のクライアントとのやり取りは夜中になることもあると透は説明した。
「それは大変ですね。じゃあ、早く食べましょ」
努めて明るく言って、美鶴はシャンパンを一口含む。細かい泡の口当たりがよく、香りもとても華やかだ。お酒に詳しくない美鶴でも高価なものなのだろうと思った。料理もとても手が込んでいて、どれを食べても美味しい。


