凄腕救急医は離婚予定の契約妻を湧き立つ情熱愛で離さない

その日、透が帰宅したのは二十二時を過ぎてからだった。美鶴は玄関に駆けていき出迎える。
「おかえりなさい」
「ただいま、今日は行けなくてすまなかった」
「いえ。お仕事おつかれさまでした。お食事、出来てます」
「食事?」
 透は一瞬表情を曇らせた。
「悪い。食べてきた。夜はほぼ毎日会食なんだよ」
「そうでしたか」
「美鶴はもう休んで。お休み」
 そういって書斎に入っていく透の背中を見つめることしかできない。
「そっか。食べてきたんだ……自信作だったんだけどな」
瑤子がよく作ってくれたシチューとハンバーグ。透にも食べてもらいたくて選んだメニューだっただけに美鶴は少し落ち込んだ。全部とは言わないがほんの少しだけでも食べてくれたら違ったのかもしれない。
ダイニングテーブルの料理を保存容器に詰め変え冷蔵庫に入れた。明日の昼と、夜のご飯にするつもりだ。