二十四階の二号室が透の部屋だった。ダウンライトに照らされた内廊下と玄関ポーチも新鮮に映る。
「どうぞ、入って」
美鶴は一瞬足を止めた。今日からここが自分の家になるのだ。入籍したとはいえよく知らない男性と寝食を共にする。これまでとは全く違う生活になるだろう。急に現実身が増してきて逃げだしたい衝動に駆られる。
「どうかした?」
「……なんだか緊張してきちゃいました。おかしいなぁ……」
あははと美鶴は笑った。けれど透は心配そうに顔を覗き込んでくる。
「不安か?」
心の中を言い当てられ、美鶴は驚いた。
「それは、その……はい」
「まあ、当然だろうな。いきなり故郷を離れて男と生活するんだから。ひとつ、約束して欲しい。我慢は絶対にしないこと。俺は君の要求は出来る限り請ける。安心して生活できるように」
「わかりました、約束します。だから透さんも私にいいたいことがあれば遠慮なくいってください。できないことの方が多いと思いますけど、頑張りますから」
「ああ、分かった。じゃあ、改めて。今日からここが美鶴の家だ」
重厚なドアを開け足を踏み入れると白い石が敷き詰められた広い空間がそこにあった。右側には二畳ほどあるシューズクローゼット。いい香りがするディフューザーが置かれ、洒落たアートが飾られている。
「広いですね。玄関に住めそうです」
「七十平米くらいだから広くはないが、二人暮らしには十分だと思うよ」
間取りは三LDKで廊下の両脇に透の書斎と寝室。突き当りにキッチンとリビングがある。リビングの隣、バルコニーに面した一部屋に美鶴は通された。
「君の部屋、ここでいいかな? 空いているのがここしかなくて……」
眺望の良いこの部屋には家具が一通りそろっている。ゲスト用というにはあまりにもベッドが大きくて、夫婦の寝室と言った様子だ。
「どうぞ、入って」
美鶴は一瞬足を止めた。今日からここが自分の家になるのだ。入籍したとはいえよく知らない男性と寝食を共にする。これまでとは全く違う生活になるだろう。急に現実身が増してきて逃げだしたい衝動に駆られる。
「どうかした?」
「……なんだか緊張してきちゃいました。おかしいなぁ……」
あははと美鶴は笑った。けれど透は心配そうに顔を覗き込んでくる。
「不安か?」
心の中を言い当てられ、美鶴は驚いた。
「それは、その……はい」
「まあ、当然だろうな。いきなり故郷を離れて男と生活するんだから。ひとつ、約束して欲しい。我慢は絶対にしないこと。俺は君の要求は出来る限り請ける。安心して生活できるように」
「わかりました、約束します。だから透さんも私にいいたいことがあれば遠慮なくいってください。できないことの方が多いと思いますけど、頑張りますから」
「ああ、分かった。じゃあ、改めて。今日からここが美鶴の家だ」
重厚なドアを開け足を踏み入れると白い石が敷き詰められた広い空間がそこにあった。右側には二畳ほどあるシューズクローゼット。いい香りがするディフューザーが置かれ、洒落たアートが飾られている。
「広いですね。玄関に住めそうです」
「七十平米くらいだから広くはないが、二人暮らしには十分だと思うよ」
間取りは三LDKで廊下の両脇に透の書斎と寝室。突き当りにキッチンとリビングがある。リビングの隣、バルコニーに面した一部屋に美鶴は通された。
「君の部屋、ここでいいかな? 空いているのがここしかなくて……」
眺望の良いこの部屋には家具が一通りそろっている。ゲスト用というにはあまりにもベッドが大きくて、夫婦の寝室と言った様子だ。


