3.イバショ
銀座の料亭を出て車は透の自宅マンションへと向かっていた。
「腹が減ったろ? どこかで食事をするか、それとも帰って出前でも取るか?」
「出前がいいです!」
美鶴は即答した。店での食事も捨てがたかったけれど、家で出前を取るということをしてみたかったのだ。店とメニューを選ぶと配達員が届けてくれるアプリ。インストールしてみたものの美鶴の家は配達区域外だったのだ。
「いいよ、そうしようか。安西、家へ向かってくれ」
「はい」と運転手の安西は答え、ハンドルを左に切る。キラキラと輝く街並みを抜けて脇道に入ると静かな住宅街が広がっていた。
エントランスで車を降り、透は冴木といくつか言葉を交わす。トランクから降ろしてもらったスーツケースを引いて中へと入った。
「ここ、ホテルですか?」
美鶴はホールをぐるりと見渡す。大理石のような床は鏡面のように磨かれ、石を模した壁を水が伝っている。背の高い観葉植物がいくつも置かれ、高級そうなソファーとテーブルが所々に配置されている。
「ホテルじゃないが、そういうコンセプトで作られているんだよ」
「そうなんですね」
「あそこがコンシェルジュカウンター。荷物の受け取りやタクシーの手配の手配もしてくれるから必要があれば依頼するといい」
透の説明を聞きながらエレベーターに乗り込んだ。鍵がないと階数ボタンが押せないと聞いて、美鶴はただただ驚いた。養父母の家では鍵をかけたことがなかったからだ。常にだれかが家にいるということもあるが、農村部は特に防犯意識は極めて薄い。だから鍵をかけ忘れてもオートロックで勝手に締まると聞いて美鶴はホッした。
銀座の料亭を出て車は透の自宅マンションへと向かっていた。
「腹が減ったろ? どこかで食事をするか、それとも帰って出前でも取るか?」
「出前がいいです!」
美鶴は即答した。店での食事も捨てがたかったけれど、家で出前を取るということをしてみたかったのだ。店とメニューを選ぶと配達員が届けてくれるアプリ。インストールしてみたものの美鶴の家は配達区域外だったのだ。
「いいよ、そうしようか。安西、家へ向かってくれ」
「はい」と運転手の安西は答え、ハンドルを左に切る。キラキラと輝く街並みを抜けて脇道に入ると静かな住宅街が広がっていた。
エントランスで車を降り、透は冴木といくつか言葉を交わす。トランクから降ろしてもらったスーツケースを引いて中へと入った。
「ここ、ホテルですか?」
美鶴はホールをぐるりと見渡す。大理石のような床は鏡面のように磨かれ、石を模した壁を水が伝っている。背の高い観葉植物がいくつも置かれ、高級そうなソファーとテーブルが所々に配置されている。
「ホテルじゃないが、そういうコンセプトで作られているんだよ」
「そうなんですね」
「あそこがコンシェルジュカウンター。荷物の受け取りやタクシーの手配の手配もしてくれるから必要があれば依頼するといい」
透の説明を聞きながらエレベーターに乗り込んだ。鍵がないと階数ボタンが押せないと聞いて、美鶴はただただ驚いた。養父母の家では鍵をかけたことがなかったからだ。常にだれかが家にいるということもあるが、農村部は特に防犯意識は極めて薄い。だから鍵をかけ忘れてもオートロックで勝手に締まると聞いて美鶴はホッした。


