「お父さん、お客さん」
奥に見えた大柄な男性は「おお」と返事をしてゆっくりと透を見た。
「どちら様?」
目深にニット帽をかぶり、顔の大半が髭でおおわれている。表情が読み取れず一瞬身構えたが、男の声は穏やかで優しさを含んでいた。透はホッと胸をなでおろす。
「お仕事中すみません。四季リゾート開発の志木と申します」
透の所まで歩いてくると「白川です」といって帽子を取った。名刺を差し出すとまじまじと見て、「随分と遠いところからいらっしゃったんですな」と感心したように髭を撫でた。
「白川牧場の事業展望についてご提案させていただきたく参りました。話だけも聞いていただけませんか?」
「……はあ、話だけならいいですよ」
門前払いされるかと思っていただけに拍子抜けしてしまった。「もっと警戒した方がいいですよ」と喉元まで出かかって言葉を飲み込んだ。
「瑤子、この人を事務所に案内してやってくれ。後から行く」
「はいはい。どうぞ、こちらへ」
とても人のいい夫婦だ。美鶴がまるで少女のような純粋さを失わずにいるのはこの二人に育てられたからなのだろう。そう透は思った。
奥に見えた大柄な男性は「おお」と返事をしてゆっくりと透を見た。
「どちら様?」
目深にニット帽をかぶり、顔の大半が髭でおおわれている。表情が読み取れず一瞬身構えたが、男の声は穏やかで優しさを含んでいた。透はホッと胸をなでおろす。
「お仕事中すみません。四季リゾート開発の志木と申します」
透の所まで歩いてくると「白川です」といって帽子を取った。名刺を差し出すとまじまじと見て、「随分と遠いところからいらっしゃったんですな」と感心したように髭を撫でた。
「白川牧場の事業展望についてご提案させていただきたく参りました。話だけも聞いていただけませんか?」
「……はあ、話だけならいいですよ」
門前払いされるかと思っていただけに拍子抜けしてしまった。「もっと警戒した方がいいですよ」と喉元まで出かかって言葉を飲み込んだ。
「瑤子、この人を事務所に案内してやってくれ。後から行く」
「はいはい。どうぞ、こちらへ」
とても人のいい夫婦だ。美鶴がまるで少女のような純粋さを失わずにいるのはこの二人に育てられたからなのだろう。そう透は思った。


