「これは?」
「志木様のドレスです」
「待ってください。ドレスって……」
「志木社長からのプレゼントでございます」
「透さんからの? もしかしてここって四季リゾートが運営するホテルですか?」
「左様でございます」
――おばあちゃんも最初から知ってたんだ……。
美鶴はすべてを察した。今すぐにでも透に連絡をしたいのに、式の時間が迫っているからとスタッフたちが必死に支度を進めようとする。
バスルームで下着を付け替えると、ドレスを着せてもらった。
「なんてお綺麗なんでしょう。ドレスのサイズもぴったりですし、とてもよくお似合いです」
「ありがとうございます」
「では、参りましょう」
いわれるがままついていくと大きな扉の前に落ち着かない様子の大柄な燕尾服姿の男性が立っている。
「お父さん?」
美鶴の声にその大柄な男性は弾かれたように顔をあげこちらを見る。
「美鶴か? いやぁー綺麗だー」
「どうしてここにいるの?」
「志木さんが招待してくださったんだよ。ここに来る間、牧場の管理に人をよこしてくれてね。本当にいい人と結婚したな、美鶴」
明彦は嬉しそうにひげを撫でた。
「うん。本当に素敵な人だよね……」
こんなにうれしいサプライズがあるだろうか。驚きの連続で感情のコントロールができそうにない。胸の奥から熱いものがこみあげてくる。
「新婦様? お父様の腕にお手を添えてください」
「……はい」
ゆっくりと扉がひらいた。讃美歌が流れるチャペルを明彦とともに進んでいく。


