やっぱり今日は止めようか。
そんな考えが過ぎった俺を、意気地無しと叱るかのように…
『お疲れ様でした!お先に失礼します!』
彼女は、現れた。
店の自動ドアから出て、真っ正面にいた俺を見た彼女は、目を見開き足を止めた。
あ…シカトされそうな予感。
でも、それは少し外れた。
『…こんなとこで何やってるの?』
彼女は強気な瞳を向けてくる。
それは“怒り”の瞳をしていた。
『…その、れいちゃんに会いに……』
『なんの為に?』
歩き出す彼女のあとを追い、後ろからついて行くように歩く。
『…話、したくて……』
いつもの軽い口調の俺は、弱気すぎて間抜けなくらいだ。
『…ファミレスでのこと?』
彼女が足を止め、振り向いたので驚いた。しかし、それを悟られないようにしながら頷いた。
『それは、あたしも悪かったと思う…』
思いもしなかった言葉に、今度は戸惑った。