『あんときは、好きになれなくてすいませんでした』
少しだけ真剣な顔と口調でいうと、先輩はくすっと笑った。
『悠は真剣が似合わないわね』
商品を俺から受け取り、
振り返り、もう一度微笑んでじゃあね、とコンビニを出て行った。
彼女の後ろ姿を目で追い、咲先輩は大人で、いい女だったんだな…って思った。
れいちゃんに嫌われることしかできない俺。
でもそれが嫌なら…自分から変えてかなきゃいけねぇーんだ…。
バイトが終わってから、俺はケータイで竜に電話をかけた。
ぷぷぷーがコール音に変わる。
やっべ…
緊張してきた……。
心臓の音が聞こえてくる。
『はい。悠〜、どうしたんだよ?』
ケータイの向こうからは、竜の声が聞こえてくる。

