『…うそ。誰か本気になれる人、見つけたの?』
『はい。だから今俺超〜一筋なんですよ』
先輩は目を見開いて、驚いていた。
『今、付き合ってるの?』
『いえ。俺の片思いです』
『へー…あの悠がねぇ。モテ男の名が廃るわね』
やっぱり過去が恥ずかしくなり、ポリポリと頭をかく。
先輩はそんな俺を感心したように、見てくる。
その目は、茶色くて綺麗な瞳をしていた。
…付き合っているときには、気付かなかった。
『どんな子なの?』
先輩の言葉に、れいちゃんを思い浮かべ、胸がホッと熱くなった。
『人の為になんかできる優しい子、ですかね』
うわぁ…言っててめっちゃくちゃ恥ずかしくなった。
多分、耳まで真っ赤だ。
『悠がそんなに惚れてる子なんて、見てみたいわね』
先輩は可笑しそうにくすって笑い、
…少しだけ淋しげな顔をした。
昔、俺は酷いやつだった。
でも分かったとこで過去は消せないし、やり直せない。
だから今の俺に、出来るのは…
『先輩。』
先輩が俺の言葉に顔をあげ、俺は袋につめた商品を目の前に差し出した。

