……………?
返事が返って来ない。
ただ俺の顔をじっと見つめてくる。
なんだよ、こいつ。
若干イライラしながら、もう一度聞こうと口を開きかけたら。
『悠…?』
そいつが、俺の名前を口にした。
眉間に皺を寄せ、相手をじっと見た。
誰だっけ…?
まったく覚えがない。
『どちらさん?』
『私のこと覚えてない?相変わらずね。…咲よ』
咲?
んー…………あ。
いっつも振ってばっかの俺が、人生で初めて振られた女だ…。
『思い出した。…久しぶりっすね、咲先輩』
にっこりと営業スマイルを浮かべる。
元カノで、同じ学校の2コ上の先輩で、もう卒業している。

