「さっきの話を聞く限り……
それって本当は、僕に甘えたいってこと?
そう期待していい?」
そう尋ねる部長の表情は、いつもの上司の顔ではなくて、むしろイタズラ好きの子供のような、真っ直ぐな瞳をしていた。
本当は…部長に甘えたいんだろうか。
そう考えた刹那、頭を撫でられた時の安心感を思い出す。
「そう、なのかもしれません。」
曖昧な返事しか出来ない私に、
部長は穏やかに手を差し出す。
「帰ろうか、朱里。」
目の前にあるその手を、今度は迷わず握った。
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