改めて、もう一度謝る。
「佐野は、何に対して謝ってるんだ?」
部長が少し冷たい口調で尋ねる。
「何…って、さっきの電話で、約束の時間から少しお待たせしてしまったことですが。」
「違う。」
部長は遮るように、否定する。
「…でも部長、何か、怒ってますよね?」
怒りの原因が私にあるのならば、はっきりとそれを自覚し、謝らなくては。
「佐野には……そう、見える?」
急に、くだけた口調でそう聞き返す部長は、私の目をじっと見つめる。その視線に耐えられなくなり、仕方なく目を伏せた私は、
「…そう見えます。」
と正直に答えた。
「ヘぇ……。」
と部長は相槌を打ったきり、黙々と食べては飲んでいる。

