あ、、、
「もしかして…なんか進展あった?
この間言ってた、好きな人と。」
営業部で頼りにされているため忙しい彼とは、それっきり中々話す機会がなかった。
「いや、そうじゃない、けど……
佐野の方こそ、どうだ? 新しくできるお化け屋敷に行ってるって、今日、青山から聞いた。」
「いや、それがね〜、超絶怖かった!!」
それを聞いた橘が、電話口の向こうで笑う。
「お前、ハンパなく怖がりだもんな。」
「あ、橘は知ってたんだっけ?」
普段の私の様子からは意外だと誰もが言うので、私が怖がりだと知る人は少ない。
「いつも同期の飲み会で怖い話が始まったら、隅で縮こまって耳ふさいでんだろ。」
彼は、呆れ気味にそう返す。

