「私が今まで佐野と仕事をしてきた中で、
これほどまでに"無理だ"と、拒否したものはなかった。」
確かに、今日の私の拒絶は異常でしたが。
「だからきっと、君は"甘える"という行為に、もっと慣れた方がいい。」
真っ直ぐな瞳でそう伝えられ、水瀬部長が私のことを思って言ってくれているのは、よく分かった。
「……精進、します。」
「ああ。ちなみに、、、
手はこのままでいいのか?」
部長の発言に対して、思い出したように自分の右手を見る。
そこには、部長の左手がしっかりと握られているわけで。
「うわぁ!申し訳ありません。」
と飛び退くように、手を離す。

