部長が彼になる5秒前


「私と一緒なんだから、大丈夫だろう。」
呆れたように部長が言う。

そういう問題じゃないんです、

私のビビリ度は、「きゃ〜、こわい!」なんていうレベルじゃないんです。雄叫びです。

なんてうだうだしていると、見かねた部長は、私の手を握って、ぐいっと引っ張った。

「これで行けるか?」

「行けません。」

即答するが、部長は鼻で笑うだけで、そのまま私をズルズルと入口へ引きずる。


マズい、怖い、帰りたい。

入口の時点で、既にその3単語が脳内を駆け巡る私は、情緒不安定だったのだろう。


「……部長、手だけじゃムリです。
腕掴んでいいですか、、、いや、もう、背中にへばり付いてていいですか!?」

そんなことを言い放った。