部長が彼になる5秒前


「はい!帰りは絶対寝ません。」
勢いよく返事をして、頭を下げる。

「そういうことではなくて…
もう、いい。行くぞ。」

部長が早足で歩いていく。
その後ろをついて行きながら、私は言葉の意味を考えるのに必死だった。




「……やっぱり、部長、ムリです。」

「何を言っている。何のためにここまで来ているんだ。」

「ムリですってえええええ!!!」

叫びながら、私は、お化け屋敷の入口から動けずにいた。

正直、部長と2人っきりになること以上に懸念していたのは、これ。
私が、大のホラー嫌いということだった。

メディア向けの説明会が終わり、実際に体験していく段階に至ったのだが、説明会の時点で軽く半泣き状態だった私には、最早地獄。