「……可愛いな。」
洋服から私へと視線を戻した部長は、
一言、そう言い放った。
「へ?」
予想外の言葉に、おかしな返事をしてしまう。
「何ぼーっとしてるんだ。行くぞ。」
開いた口が塞がらない私をよそに、水瀬部長はさっさと車へ乗り込んでしまった。
今、"可愛い"って言ったよね…?
戸惑いつつも、助手席に乗り込む。
サイドミラーに映る自分は、ひどく赤面していた。
その顔をなるべく見たくなくて、慌てて俯いたついでに私は絢へのメールを打つ。
" 「可愛い」頂きました。"
送信ボタンを押すと同時に、部長の運転する車は、目的地へと走り出した。

