となると、デートの服って何?
5年も恋人が居なければ、当然デートのために用意したような服もあるはずがなく……
*
「まぁ、上出来ね。」
腕組みをした絢が、誇らしげに私を見る。
結局その夜、デート服が無いことに気づいた私は、仕方なく絢に泣きついた。
「出張!しかも泊まり!? 」
電話口でそう叫んだ絢は、速攻で通話を切るなり、ありったけの服を詰め込んで、私の家へ訪れた。
「あんたも、もっと早く言いなさいよね〜」
と小言を漏らしつつも、
翌朝、服もメイクも準備してくれた彼女は、送り出す前に私の背中をバシッと叩く。
「部長のリアクション報告待ってるから。」
「かしこまりましたっ!」
ビシッと敬礼して、私は家を出た。
いざ、出陣。

