部長の反応を、おずおずと顔を上げて見る。
「……っ。」
しかしそこには、顔を真っ赤にした部長が立っていた。
私と目が合ったことで、はっとした部長は、口元を手で覆い、視線を逸らす。
「…ああ、僕も。楽しみにしている。」
最後にそう言って、部長は会議室を後にした。
何あれ……。ホントに、部長…?
想像以上なのは、部長の反応も同じだった。
赤く染まった顔と、伏せ目がちの視線が、
脳裏から離れない。
ドキっとしてくれたのだろうか。
それ以前に、当事者である私が、
ドキドキしてしまっている。
ただ、1つ分かったのは、
相手もドキっとさせるためだったら、
代わりに自分がドキドキするのも、
案外悪くないということだった。

