いや、私は部長と2人で出張するのが、
だいぶ心臓に悪いんです。
なんて到底言えるはずもなく。
「……精一杯同行させて頂きます。」
喉の奥から、なんとかそう絞り出した。
「朱里の記事にも影響があれば良いが。」
最後にそう含んで、部長は席を立つ。
こうやって、いつも私ばっかりドキドキして、言い逃げする部長に、ちょっと仕返ししたくなった。
……今なら、言えるかも。
「要さん……!」
呼び止めた瞬間、実際口に出して呼ぶことに対して、想像以上に自分自身がドキドキしてしまった。
「あの…たのしみに、して、ます…。」
緊張で声が震える。

