「……分かり、ました。
私でよければ、"仮" 恋人にして下さい。」
「契約成立だな。」
こうなったら、仕事の道具だと思うくらい、部長から色んなネタを盗んでやる。
拳を握りしめて、そう意気込んでいると、
部長が降りる駅に着いたようだ。
「じゃあ、おやすみ ……朱里。」
そう言って、私の手にそっと触れて、
部長は電車から降りた。
一瞬の出来事に固まる。
「朱里」って呼ばれた……
まず部長が下の名前を、知ってくれていただけで、十分嬉しいのに、それを呼ばれるとこんなに嬉しいんだと、自分でも驚く。
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