「お見合い…ですか?」
「そうだ。30歳にもなって、結婚もしないのかと、最近になって両親が焦り始めたんだ。
だが、私はまだ仕事を優先したい。
そこで君の恋人役になるのは、
後輩のサポートという仕事の一環であり、
自身のお見合いを断る手段にもなる。」
仕事を優先したい気持ちは、
私にもよく分かる。
だからこそ、そんな部長の手段として利用されても構わない、そう思ってしまっている自分が居た。
「"仮" なんですよね…?」
おずおずと私は尋ねた。
「"仮"だ。今のチーフと部長という役職に、
多少のオプションが付く、ぐらいに考えてくれて構わない。」
そう考えると、私自身も仕事の一環のような気がしてきた。

