部長が彼になる5秒前


何故って……そんなの。

「今まで、入社してからずっと
部長の力にばっかり頼ってて……

それが情けなくて、悔しいんです。

だから今回こそは自分の力で、恋愛記事を書きたいんです。」

言いながら、涙が出そうになる。
でもこれが、本音だ。


「それなら尚更、
私の仮の恋人になった方がいい。」

「どうしてですか……?」

私は、恋愛が参考にできるけれど、部長にとってのメリットがあるのか、不思議でしょうがない。



「君は、私から何か恋愛ネタを引き出すチャンスになるだろうし、

私は……見合いの話が来なくて済む。」


部長は、何かを決意したように、そう告げた。