何故って……そんなの。
「今まで、入社してからずっと
部長の力にばっかり頼ってて……
それが情けなくて、悔しいんです。
だから今回こそは自分の力で、恋愛記事を書きたいんです。」
言いながら、涙が出そうになる。
でもこれが、本音だ。
「それなら尚更、
私の仮の恋人になった方がいい。」
「どうしてですか……?」
私は、恋愛が参考にできるけれど、部長にとってのメリットがあるのか、不思議でしょうがない。
「君は、私から何か恋愛ネタを引き出すチャンスになるだろうし、
私は……見合いの話が来なくて済む。」
部長は、何かを決意したように、そう告げた。

