部長が彼になる5秒前



ホームへ向かうと、そこには
見覚えのある人が立っていた。

長身の大きな背中に呼びかける。


「水瀬部長!」


部長が驚いた表情で振り向いた。


「佐野…。お疲れ様、って飲んでたのか?」

「はい。同期で飲んでて。
部長は、残業ですか…?お疲れ様です。」

「そんなとこだ。

あぁ、南課長から聞いた。
例の"後れ毛"、役に立ったようだな。」

部長は、ニヤリと笑って言った。


「…はい。ありがとうございました!

でも、今後はもっと本格的な記事書くので。」


負けてたまるかと、部長の目を見て告げる。