顔を上げれば、
真剣な表情の部長と視線が交わる。
切れ長の瞳に長い睫毛、通った鼻筋。
入社当初は、恐れ多くて見られなかった
端正な顔立ちに、思わず見惚れる。
「髪…伸びたな。」
部長の呟きに驚いて、目を見開く。
確かに、入社当初より伸びているが、
そんなこと、気づくようには見えないからだ。
「1位は、髪をくくる仕草…だったよな。」
私を見たまま、そう言ってニヤリと笑う。
「佐野、実践してみてくれないか…?」
「えぇ!それって今ここで、
髪をくくれって事ですか?」
「そうだ。何か問題でも?」
いや、問題も何も…
散々苦戦してる所を見られた挙句、
それを部長の前で再び披露するのは、
さすがに……。

