「いや、その前にどうしてそうなったのか、
理由を教えてほしいんだ。
慌てなくて良いから。」
部長が、そう促した。
私は正直に、
橘との話から今の『Venus』の弱点や、
自身の経験不足がきっかけであることまでを話した。
「なるほど。私も『Venus』が、その類の記事を減らしているのは、気になっていたが、
まさかそういう理由だったとは。」
部長は、顎に手を添え、少し考えた様子。
「『Venus』は、ファッション記事の質が上がっている分、ファッション誌としてのレベルは向上している。
君や雑誌企画課に本当に感謝している。」
その言葉に、部長が戻るまでの3年間、必死に頑張ったことに、達成感を得る。

