部長が彼になる5秒前


「うん…自信が無かったんだよね。
でも、せっかく橘も言ってくれたんだし、

チーフになったからには、挑戦してみる。」

緊張した面持ちで、私はそう宣言した。


「おう!また今度、飲みに行こうぜ。
こんな記事、期待してる。」

最後に、あの『モテる女の仕草』のページをトントンと指で押さえ、橘は去った。


そのページに視線を落とし、考え込む。


「恋愛かぁ……。」

難しい。
何より、私が恋愛の楽しさを忘れているのが、大きな問題だった。


でも、橘の意見は最もだ。
自分でも薄々感じていた所を突かれた為、
やはり読者も感じているに違いない。


やるしかない。読者にもっと
『Venus』と共に、素敵な毎日を送ってほしい。